新宿院スタッフ

きっかけのない膝の激痛①

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ひざ痛の原因

きっかけのない膝の激痛①

2022年3月14日(月)

東京ひざ関節症クリニック 新宿院
院長の 長谷川です

第 27 回目の投稿となります

今日は

きっかけのない膝の激痛①

について考えていきたいと思います

膝の痛みは十人十色

中にはきっかけなく痛めてしまうことがあります。

このブログで取り上げる中で膝痛疾患は

変形性膝関節症

半月板損傷

靭帯損傷

たまに

特発性骨壊死

棚障害

など取り上げることが多いですね

この中で

きっかけのない膝の激痛といったら

特発性骨壊死くらいかなと思います。

今日は上記以外の疾患について触れていきたいと思います。

 

私は整形外科のまだ駆け出しの頃

出向で沖縄の病院に一年勤務しておりました。

そのときに出会った症例をご紹介したいと思います。

当時その病院は周辺地域の中核病院にも関わらず

整形外科は2名のみ

上司と私 2名 だけです。

そして私はまだ整形入局2年目

特に1年目は大学病院だったので、

一般的な病院の整形外科疾患に関してはまだまだ知らないこともたくさんある状態でした。

私は沖縄での一年間で整形外科の基礎を身に着けることができました。

そんなある日 休日だったと思いますが、

救急外来に膝痛の患者がいると、その日は病院に3回呼び出されました。

休日に呼び出されない日はありません。

本当にたまたまなのですが、その日3名受診した患者さんは

全員 きっかけのない膝の激痛 でした。

3名ともまったく接点のない方で、各々とくに既往歴はありません。

①80代 男性

②60代 女性

③40代 男性

症状は全員同様で、以下の所見がありました。

38度以上の発熱

痛い方の膝の 腫脹、発赤、熱感、激痛

 

どんな疾患を疑い

どんな検査をすればいいのか

 

医師ならだれもが分かると思いますが、

絶対にしなきゃいけないのは

感染症を除外することです。

とりあえずXp検査をし

採血検査と血液培養検査

尿検査と尿培養検査

そのあとは

関節穿刺をして関節液検査と関節液培養

一通りのことをこなします

採血結果は全員

炎症マーカーである 白血球数 と CRP が異常高値 を認め

関節液結果は全員

細胞数 100000/μℓ 以上でした 糖も少なめだったと思います。

細胞数の値だけで、入院させても怒られないレベルだと思います。

この時点で

感染症の可能性は結構高いです 十分に疑っていいレベルです ヤバい状況です

ただし、診断を 絶対に感染症である と確定するには

血液培養検査か関節液培養検査で 菌を検出しなければなりません。

実際に菌を検出するにはどんなに早くても24時間程度はかかります。 普通は3日程度でしょうか。

検査データからは皆さんけっこう深刻な状況です

 

結果出るまでおうちで待機しててね!

 

なんて悠長にやっていたら、全身に菌が回って失命することもあります。

検査データからすでにもう全身に菌が回っている可能性も十分高いです。

 

全員入院させればいいじゃん と思うかもしれませんが

 

ただし

この日は

整形外科で入院は 一人まで とお達しがでておりました。

入院できるのはこの中で 絶対に一人だけ です。

この時 院内の病床がパンパンで 入院規制がかかっておりました。

そして

こんな日に限って 頼りの上司は 学会か何かで 出張中でした。

 

 

限りなく感染症が濃厚な状態ですが、

実際にこうゆう状況の中で 一番 多い疾患は

偽痛風 です

この偽痛風ってのが、感染症と紛らわしくて本当にやっかいです。

一言でいうと 痛風 の親戚みたいなものです。

説明すると長くなるのでこれはそのうちに説明しますが、偽痛風の治療は

安静・経過観察で治ります。

ステロイド注射すると著効しますが、感染症だった場合、感染が悪化するので私はあまりやりません。

 

同じような症状なのに

一方は 失命する可能性があり

一方は ほっといても治る

検査データや所見はほぼ同じです

特に当時の私一人の力では経験も浅くなかなか見分けがつきません。

 

この日 救急外来で願っていたことは

 

偽痛風であれ!

偽痛風であれ!

偽痛風であれ!

 

願っていても仕方がないので、このときさらに検査を進めました

顕微鏡による検査です

 

採取した 関節液を 検査室に自分で持って行って

グラム染色 をしました

細菌がいた場合 グラム染色で 検出できる可能性があります。

黄色ブドウ球菌がいた場合は

ブドウのふさのような菌塊が顕微鏡ごしでのぞけます

自分で スライドガラスに検体を乗せ、染色したり、脱色したり、乾かしたり

当時は必至でやってました。

自分の 染色技術に不安もあったので 近くにいた 検査技師さんにも

一緒にやってもらい 一緒に確認しました。

 

結果

顕微鏡で 菌は検出されませんでした。

でも めでたし、めでたし とはなりません

頑張ってグラム染色しても 菌が検出されないこともあるからです。

 

 

 

結局 私は

一人入院させ、二人帰宅させました。

非常にも、二人帰宅させました。結果出るまで自宅で待機しててね!と言ったのです。

 

誰を入院させたのか、誰を帰宅させたのか、

検査結果はどうなったかは

次回にしたいと思います。

 

ちなみに関節液は見た目でも違いが分かります

普通の関節液は オシッコのような やや黄色味を帯びた 透明な液体になります。

以下は今回の3名の関節液になります。

ちなみに左から

80代の方、60代の方、40代の方です。

こんな日は二度と来ないだろうと思って、当時、記録として残しておきました。

ヤバいなってのは分かりますが、

菌がいるかどうかなんて、見分けつきませんよね。

 

 

受診の際はスタッフ一同お待ちしております

院長 長谷川

整形外科・再生医療
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